麻畑で過ごした一日

今週末、栃木県へ麻の収穫のお手伝いに行ってきました。

私は栽培補助者として、年に数回畑へ足を運んでいます。

「お手伝い」と言っても、私にできることはほんの一部。

それでも毎年、この季節になると畑へ行きたくなります。

朝6時に集合。

この日は霧雨が降っていたので、少し遅れて作業が始まりました。

畑には静かな空気が流れ、雨に濡れた麻が真っすぐ空へ向かって伸びていました。

午前中は霧に包まれた幻想的な景色。

午後になると太陽が顔を出し、小さなアマガエルや虫たちも動き始めます。

土はふかふかで、風が吹くたびに麻がさらさらと揺れる。

背丈よりも高く育った麻の間に立つと、見渡す限り緑色が続き、まるで緑のカーテンに包まれているようでした。

その景色を見ていると、

昔、日本中のあちこちにこんな麻畑が広がっていたのだろうなと想像してしまいます。

作業は、麻を刈るだけでは終わりません。

「ハブチ」と呼ばれる作業で葉を落とし、長さを整え、束ねていきます。

その後は湯かけ、乾燥、皮剥ぎ、精麻づくりへと続いていきます。

収穫の仕方ひとつで、その後の作業のしやすさや、仕上がる精麻の状態が変わるそうです。

目の前の作業だけではなく、その先を考えながら手を動かす。

その姿を見ていて思ったのは、ものづくりは「逆算」なのだということです。

完成した姿を思い描きながら、今何をするのかを考える。

その先には、手に取ってくださる方の暮らしがあり、

ワークショップに参加してくださる方々のお顔が思い浮かびました。

愛でてもらえるだろうか。

暮らしの中で役に立てるだろうか。

自然と手に取ってもらえるだろうか。

大切に使い続けてもらえるだろうか。

そんなことを想像しながら、一つひとつの作業を積み重ねていく。

ものづくりの「逆算」の出発点は、手に取ってくださる方なのだと感じました。

それは農業だけではなく、私たちの暮らしや仕事にも通じることなのかもしれません。

湧水

お昼には麻農家さん特製のカレーをごちそうになり、午後も畑へ。

湧き水で手ぬぐいを濡らし、頭にかぶると、ひんやりとした風が通り抜けていきました。

昔の人も、こんなふうに暑さをしのいでいたのかな。

そんなことを思いながら、一日手を動かしました。

私は米づくりもしていますが、一日中畑で作業をすることは多くありません。

だからこそ、この時間はとても新鮮で、心地よく感じました。

そして改めて思ったのは、一人ではできない仕事があるということです。

農業は自然が相手です。

天候も毎年違います。

育ち方も違います。

だからこそ、人の手と経験が必要なんだと思いました。

今年もほんの少しだけですが、

その時間をご一緒させていただけたことに感謝しています。

私がお届けしている精麻も、その背景には畑があり、自然があり、多くの人の手があります。

ワークショップで皆さんに精麻を手渡すたびに、この日の景色を思い出すのだろうなと思います。

みなさんの喜ぶ顔を想像しながら、作り手さんの想いも一緒に届けていきたい。

私が知ったことや感じたことを、一人でも多くの方へ手渡していく。

それが、私なりの麻を未来へつなぐ方法なのだと感じています。

この記事を書いた人

mikawaasakoubou