麻は特別なものではなく、暮らしの中にあった
「精麻って何ですか?」
ワークショップをしていると、よく聞かれる質問です。
精麻とは、大麻草(ヘンプ)の茎から繊維を取り出し、丁寧に精製したものです。
神社で見かける鈴緒(すずお)や注連縄(しめなわ)などにも使われています。
今では特別なもののように感じるかもしれませんが、昔の日本人にとって麻はとても身近な存在でした。
衣服を作る。
縄を綯う。
袋を作る。
赤ちゃんの産着にする。
神事に使う。
暮らしのあらゆる場面に麻がありました。

なぜ神社では麻が使われてきたのか
麻は種を蒔いてから約3か月で3メートルほどまで成長します。
真っ直ぐ空へ向かって伸びる生命力の強い植物です。
その力強さから、
穢れを祓う。
神様と人をつなぐ。
願いを天へ届ける。
そんな祈りが込められるようになりました。
神社で使われる理由も、単なる伝統ではなく、人々が自然の力に敬意を払ってきたからなのだと思います。
私が惹かれたのは、人の営みだった
私が麻に惹かれたのは、
神秘的だからでも、
スピリチュアルだからでもありません。
麻を育てる人がいて、
糸にする人がいて、
織る人がいて、
使う人がいる。
その長い人の営みに感動したからです。
ひとつの繊維の向こうに、
たくさんの人の暮らしや知恵がある。
それを知った時、
この智慧を未来へ残したいと思いました。

精麻は過去ではなく未来のもの
私は精麻を昔の文化として残したいわけではありません。
今の暮らしの中でも、
心を整えたり、
感謝を思い出したり、
自分の感覚に戻ったりするために使えるものだと思っています。
だから私は、
精麻を展示品ではなく、
暮らしのそばにある文化として伝えていきたいのです。

