春になると灰汁をつくり、藍を建てます。
藍の様子を見ながら、
「今年も、この季節が始まる。」
と、ワクワクします。
今では、藍と過ごす時間は、私の暮らしの一部になりました。
けれど、最初から日本の伝統工芸に詳しかったわけでも、
藍染めを仕事にしたいと思っていたわけでもありません。
はじめは、ただ藍の色が好きなのだと思っていました。

深く、静かで、
光の届かない深海のような色。
何もかもを包み込む、宇宙のような色。
眺めていると、なぜか心が落ち着きます。
けれど今振り返ると、
私が本当に惹かれていたのは、藍色そのものではなかったのかもしれません。
自然から生まれたものを身にまとい、
大地と離れずに生きること。
余分なものを持たず、
自分の道を、まっすぐに見つめること。
私は藍の向こうに、
自分が焦がれていた「生き方」を見ていたのだと思います。
なぜ私は、
そんな生き方に強く惹かれるようになったのでしょう。
その答えは、ある冬の朝にありました。
次回へつづく。 (1/5)

