私が麻の作務衣を作り始めた理由

前回は、

精麻のワークショップを

始めた理由についてお話しました。

精麻に触れていると、なんだか心地がいい。

その心地よさは、

ただ「気持ちいい」というだけではなく、
日々の情報の多さや、

目の前のことに振り回されていた意識が、
少しずつ自分の感覚へ戻っていくような感覚です。

頭の中に立っていた埃が、
打ち水をした後の地面のよう

スっと静かになっていく。

精麻に触れる時間には、そんな落ち着きがあります。

そして多くの方にこの感覚を思い出していただけたらと思っています。

ワークショップを続ける中で、
ひとつ困っていたことがありました。

それは、服装のことでした。

私はもともと、人前に立つことが得意ではありませんでした。

できるなら前に出たくない。
誰かのお手伝いとして、裏方をさせてください!

そんなふうに思っていました。

今年で精麻のワークショプを始めて7年目。

大変嬉しいことに少しずつ、

精麻のワークショップをお願いしていただくようになりました。

精麻ワークショップ

ものを作るこは好きでした。
精麻のこと、手を動かす時間、参加してくださる方に

麻のことをお届けしたい。

そこには迷いがありませんでした。

でも、

毎回ワークショップの前になると、

「今日は何を着たらいいんだろう」

と考えてしまう自分がいました。

気持ちはワークショップに向かって高まっているのに、
服装のことで少しだけ気持ちが重くなる。

その小さな違和感がありました。

そんな時に、作務衣を着ようと思いました。


藍染めをしていたこともあり、

作務衣は身近な存在でしたので、
自然と「作務衣がいいな」と思ったのです。

そこで、麻、

つまりヘンプで作られた作務衣を探しました。

…残念ながら、見つかりませんでした。

最初はリネンの作務衣を着ていました。

それも十分に素敵でしたが、
精麻のワークショップをしているのに、
自分が着ているものを説明する時に、
「これはリネンです」と言うことに、少し違和感がありました。

それなら、ヘンプで作ればいい。

そう思ったのが、麻の作務衣づくりの始まりでした。

藍染め用の白生地を買いに行くお店がありました。

何度も生地を見ていましたが、
なかなか「これで作りたい」と思える生地には出会えませんでした。

そんな中で、

今使っているヘンプの生地に出会いました。

見た瞬間に、

「おぉ〜〜!!この生地で作りたい!」

と思いました。

美しくて、清らかで、
自分が身につけたいと思える生地でした。

そうして作った麻の作務衣は、
私にとってワークショップの制服のような存在になりました。

精麻ワークショップ 麻作務衣

今日は何を着よう。
これで大丈夫かな。
自分らしく見えるかな。

そんな小さな不安が、ひとつ軽くなりました。

たったひとつのことかもしれません。

でもそのひとつが軽くなるだけで、
ワークショップの前に、

自分の気持ちがより整いやすくなりました。

大きく見せる必要もない。

足りない自分を隠す必要もない。

過不足なく、
自分自身としてその場に立てる。

それが、私にとって麻の作務衣の心地よさでした。

私にとって作務衣は、特別なおしゃれ着というより、
自分の仕事をするための服です。

人前に立つ時、
手を動かす時、
誰かと向き合う時、
自分の中心に戻してくれる服。

最初は自分のために作ったものでした。

毎回来ていたら

少しずつ
「どこで買ったんですか?」
と言っていただくことが増えました。

施術家さん、職人さん、ヨガをされている方、ガラス作家さん

お父様へのプレゼント、中国茶の先生。

それぞれの仕事や暮らしの中で、
自分らしく立つための服として選んでくださっています。

それが

とても、とても嬉しいです。

私が作りたかったのは、
誰かを別人に見せる服ではありません。

本来の自分で、
安心して立てる服。

誰かになるためではなく、
本来の自分で在り続けるために。

麻の作務衣は、
私にとってそんな感覚を思い出させてくれる存在です。

三河麻工房 

この記事を書いた人

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